Keiさんの日記

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日記一覧

Kei
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2025/09/08 21:40[web全体で公開]
😶 魔女に呪われましたの
ご機嫌よう。

Witch: the Road to Lindisfarne(以下 Witch)を遊んで参りました。昨年知ってすぐに訳していたのですが、ようやく遊ぶことができましたの。
Witch は黒死病が猛威を振るう1350年のイギリスを舞台に、自分が魔女の力で疫病を流行らせたと教会に告白した女性をロンドンから聖地リンディスファーンに連れていき魔女裁判にかけるまでを描く TRPG です。モンセギュール系で PC は選択制、魔女役も PC が演じます。
さて、今回わたくしが演じるのは修道士役でしたが、狂信者っぽく彼女を最後まで魔女と決めてかかる感じにしましたの。だって教会がそう決めたのですから。もちろんモンセギュール系のシステムですから過去に暗い影があり、これらの要素が絶妙に絡んで楽しかったですわ。最後の魔女裁判も、PL としては、わたくしも無実の少女だろうと思いましたけれど、モンセギュール系のシステムは現代と違う倫理観、行動規範の時代に生きるということを追求する側面がございますから、迷うことなく火刑の準備をしたりしまして。
ですが、同行していた騎士が彼女が魔女のはずがないと火刑台から逃してしまい……。
そんな彼女は本当に魔女だったので、わたくしの PC はその呪いによって最後に異端審問にかけられ火刑に処されることになったのですわ。
ほんとうに楽しいセッションで、ご参加くださった皆さまありがとう存じます。
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2025/09/06 19:03[web全体で公開]
😶 本日は卓を流しましたの
ご機嫌よう。

卓の予定がございましたが、参加される方のお一人がいらっしゃらず……。連絡もなく、メンションに反応もなく、他の参加者の方と相談して時間をずらして再集合したり夜枠への変更も検討しましたが、結局連絡がつかず、流卓となりましたの。複数回リマインドしていて、今朝方には反応いただいておりましたし、何があったのか心配ですわ。ご無事でいらっしゃると良いのですけれど。
ご参加くださった他の皆さまもどうするか相談に乗っていただいて、非常に協力的にしていただき、ありがとうございました。
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2025/09/01 19:35[web全体で公開]
😶 Alice is Missing の素敵なデフォルト安全基準のお話
ご機嫌よう。

わたくし Alice is Missing(以下 AiM)が大好きなので、何度もこのゲームについてお話してしまうのですが、そういえば安全という観点でお話したことはないかもしれませんので触れておきます。
AIM は行方不明になった女子高生アリスをめぐって、彼女の身に何が起こったのかを解き明かすみたいな TRPG です。行方不明になった女子高生というワード自体が不穏で、穏やかでない想像を掻き立てられるでしょう。そこで  AIM では、デフォルトで「ゴアと暴力」「性的不同意」に関する直接的描写をしてはならないとされています(デフォルトでは仄めかすことは禁止されません)。そしてもう一点が「被害者非難をしてはならない」という点です。
AiM は遊んでいるうちに、アリスが事件に巻き込まれたのはアリス自身にも責任があると思ってしまうような描写や展開があり得ます。そう考えたくなるような手がかりに誘導されるにせよ、そのような描写をするのは PL 自身ですし、そのような展開にするのも PL 自身です。ですがアリスは被害者であり、その結果何が起こったにせよ、アリスの自業自得であることを意味しません。

というわけで久しぶりに AiM 遊びたくなって参りましたわ。
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2025/08/29 01:21[web全体で公開]
😶 ある卓で安全ツールが使われましたの
ご機嫌よう。

これは海外のとあるコンベンションでのとある卓の出来事です。その卓では「ラインとベール」「Xカード」といった安全ツールが採用されていました。事前にラインについて決め、ゲームが開始しました。
ですが、ゲーム中 GM による描写で「ライン越え」が起こり、PL は Xカードを使用しました。GM は驚いた様子でしたが PL は事前に決めたラインを越ていると主張、その理由を説明しました。PL は相談してシナリオあるいは問題の描写をこのように変更すれば問題ないという複数の提案をしましたが、GM は「シナリオ上の適切な解決策がある」と譲らす、提案を受け入れませんでした。議論の末 PL の一人が「オープンドア」でゲームから退出することを決めると、他の PL もそれに続きました。

PL がコンベンションの主催者に何が起こったのかを伝えると、主催者は PL の対応が正しいと認めました。一方で主催者は GM にも聞き取りをし、GM は自分のシナリオに感情移入していて臨機応変に対応できなかったことが分かりました。主催者は募集の段階で内容についての警告を記載していれば事態が避けられたかもしれないと提案しましたが、GM はネタバレになると拒否しました。

これは伝聞ですが、安全ツールを使用していてさえ、このようなことが起こります。ましてや安全ツールも採用していない、Right to Play の概念もない卓で何が起こるかなど、考えたくもありませんわね。
なお蛇足ですが、このお話は安全ツールがゲームを救うことができなかったビターな例として語られたものです。
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2025/08/24 20:22[web全体で公開]
😶 上司がにゃーになっていたお話
ご機嫌よう。

Vampire: the Masquerade 卓の続きでしたの。今日はとにかく怪しい場所を調べ、怪しい場所を調べ、怪しい場所を調べていたのですが、何しろわたくしのキャラクターは芸術と人を動かす方面での魅力に全振りしていて探索技能は皆無ですから、おんぶだっこ状態でしたわ。まあね、この卓の PC たちはみんな個人主義、動機や目的はてんでバラバラ、ですから我関せずを決め込んだ PC もそれなりにね。なのにこの探索に一番乗り気なのが自分というのが面白くって。
ともあれ欲しかったものの一部を手に入れ、なぜか最近引きこもっていた上司もなんとか見つけ出したのですわ。この過程で起こったことが後々トラブルの原因になるのではないかと戦々恐々ですが。ともあれやっと見つけた上司は猫状態になっていまして。
また、舞台となるモントリオールに少しずつ詳しくなっていく感じがするのも楽しいですし、吸血鬼らしく血の味について雑談したり、吸血鬼なのに十字を切ったりするのも楽しかったですわ。
ご一緒くださった皆さまありがとうございました。
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2025/08/23 19:43[web全体で公開]
😶 商人という名前のテロ組織のお話
ご機嫌よう。

ダイアレクト「盗賊の符牒」遊んでまいりましたの。ダイアレクトは GM なしシナリオなし(設定の元はあります)ステータスなし判定なしの TRPG で、共同体の終わりを言語という側面を通して描きます。つまり「盗賊の符牒」は盗賊団という集団が終わる様子を描くための基本設定です。
ですが。
今回の卓では話が非常に大きくなって、盗賊というのは教会権力に寄生する商人たち、それがタガが外れて金のためならなんでもやる、というか人道に反する兵器を生み出して大量虐殺……みたいなことになりましたの。もちろん教会側の PC もいましたが、免罪符の存在は彼の思惑を大きく外れ……。わたくしの PC は当初「殺しはしない」という約束を窮屈に思っていて、開始時点ではそのために仲間を裏切ることになるのかもしれないと思っていたのですが、まさかの展開で裏切りなんて瑣末な要素などどうでも良くなりましたわ。
もちろんダイアレクトはこうした共同体で話される言葉にフォーカスしたゲームですから、生み出された言葉の数々も面白く、共同体の終わりと共にこうした言葉を使う人もいなくなり、それがまたエモく……いえ今回の場合は、これ話す人いない方がいいかしら(。
ともあれ非常に楽しいセッションで、お誘いくださった方、ご一緒くださった皆さまありがとうございましたっ。
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2025/08/04 01:06[web全体で公開]
😶 星々の海を超えるお話
ご機嫌よう。

2ヶ月ほど前から Signal to Noise(以下 StN)を置き卓で遊んでまいりまして、ついに完結しましたの。StN は宇宙に旅立つ世代宇宙船の乗組員となる PC と地球に残る PC がメッセージをやりとりするという書簡型 TRPG です。ゲームが進むにつれてどんどん距離が離れ、それに伴ってメッセージが届くにはどんどん時間がかかるようになり、かつ内容が劣化します。ゲームにはカードを使用し、スートや数字によって出来事(メッセージや物語のフック)が決まります。
さて、メッセージの劣化はこのゲームのキモなのですが、ルールでは(当然英語です)英語の場合しか考慮されておらず、今回遊ぶのに当たっては日本語の劣化プログラムを開発しまして、これも楽しかったですし、うまくいっていたらいいのですけれど。ファシリテーターとして見ていた限りでは、割といいギリギリな感じに壊れたという気持ちもありますが、どうかしら……。
ともあれ、今回の卓では概ね地球側は希望のある感じの進行、一方で宇宙船の側はどんどん事態が悪化していくという感じになったのかしら。システム的には良いにせよ悪いにせよ一旦どちらかに寄ったらどんどんそうなるという面がありますけれど、それにしてもしんどいエモい感じになったかしら。また遊んでみたい良いゲームと感じましたし、こうなったのは遊んでくださった方々の語りのおかげですし、ご一緒くださった皆さまありがとうございましたっ。

なお、StN は翻訳解説を謳ったものが一部に流出していますが、非公式の海賊版ですのでご注意ください。
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2025/07/27 16:48[web全体で公開]
😶 シャドウランを作った会社のお話
ご機嫌よう。

会社の歴史シリーズは続けるつもりもなかったのですが、なぜか有名どころはあらかた紹介してしまいましたので、(たぶん)最後に FASA のお話をしましょう。FASA はこれまで取り上げてきた会社たちとは異なり何かしら大きく失敗したわけではございません。FASA 製品にはバトルテックやアースドーン、シャドウランなど日本語版になったものもあります。

とまれ、FASA の歴史は1980年にトラベラーのサプリから始まりました。宇宙船のデッキプランやアドベンチャーなどを公式ライセンスを得て製作・販売していましたが、きっちりとした図面や地図、一部製品は駒付きで高い評価を得ていたようです。特に元 GDW で働いていたキース兄弟の手によるものは好評でした。
そんな中1982年にスタートレックを発表してすぐさま人気を博すと FASA はトラベラーのサポートを終了し、自社製品に注力するようになります。
TRPG ではありませんがバトルテックはコンピューターゲームやアニメにまで派生するほどの大ヒットとなりましたし、ミニチュアフィギュアメーカーへのライセンス事業も成功し、このことは後にミニチュアフィギュアの大手ラルパーサ買収に繋がります。
TRPG に関しても80年代半ば以降メックウォリアー(バトルテックを TRPG として遊ぶためのルール)、シャドウランと立て続けにヒットを飛ばしていきました。90年代に入るとアースドーンが発売されますが、こちらは賛否両論だったのかしら。一方でスタートレックに関しては、80年代後半に発売されたサプリメントに不満を抱いたライセンシーによって89年にライセンスが剥奪されました。
さて、これまでの会社の歴史シリーズで紹介してきたように、多くの TRPG 会社は90年代には勢いが衰え、特に90年代半ばには MtG の流行などで大きな打撃を受けるのですが、FASA はそうなりませんでした。先に書いたようにバトルテックはコンピューターゲームにもなり(FASA 自身が子会社を設立したほか、いくつかのゲーム会社にライセンスされました。90年代末には FASA の子会社はマイクロソフトに買収されました)収益を上げ続けたばかりか、没入型のコクピットコントローラーまで作られるほどでした。加えて1994年に放送が開始されたバトルテックのアニメシリーズの成功もあります。もちろん一方で、バトルテック・カードゲームは失敗しましたけれど。
そして2001年、FASA は突如事業を閉鎖します。
財務は健全でしたが、経営者は TRPG やボードゲームの市場は縮小すると考えましたし(実際に90年代後半から実績は下落傾向でしたし、2001年当時 FASA の TRPG タイトルはシャドウランだけが辛うじて利益を上げていたという指摘もあります)、ライセンス事業は好調でしたが同じことを続けてやる気がなくなり、このまま事業を続けるのも面倒なので辞めることにしたそうです。意味わからないですわよね?
ともあれ、FASA のあらかたの権利は創業者の一人が2000年に新しいミニチュアゲーム(ヒット作となったそうです)を作るために新たに創業した WizKids という会社に売却されましたが、ゲームの権利は幾つかの会社との間を行ったり来たりすることになります。というか WizKids 自体が2003年に Topps というトレーディングカード(カードゲームではなく、ビックリマンシールのようなもの)の会社に買収され、2008年には更に売却されます。この時シャドウランの権利は Topps に残りますが、最終的に Catalyst Games にライセンスされました。
FASA は今でもライセンス管理会社として存続しています。2012年に FASA Games という子会社を新たに設立し、ゲームの開発はそちらで続けられています。
因みにマイクロソフトに買収された子会社は MS FASA スタジオとなりますが2007年に閉鎖されています。
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2025/07/27 14:13[web全体で公開]
😶 トーグを作った会社のお話
ご機嫌よう。

先日パラノイアの歴史を振り返ったところ、当初の発売元である West End Games(以下 WEG)の歴史まとめが読みたいというリクエストを頂戴しましたので、パラノイアを作った会社がどうなってしまったのかを見てみましょう。他に日本語版が出た TRPG としては、トーグを作った会社でもありますね。

WEG を設立したダニエル・スコット・パトラーはダートマス大学で学士号を取得後スタンフォード大学で法学博士号を取得、ニューヨークで弁護士会に登録というエリートで、最初の勤務先は Bucci Retail Group(以下 BRG)というイタリアンファッションの輸入業者でした。また、いくつかのゲーム会社でプレイテストに携わっていたようです。
1974年、WEG は BRG から資金を得て設立され、ゲーム事業が始まりましたが、この時点でリリースしていたのは TRPG ではありません。ともあれ WEG の親会社は BRG でした。
さて、1983年になると WEG はコスティキャン(パラノイアの作者)といったデザイナーを雇い入れ、翌年にはパラノイアで TRPG に参入します。パラノイアは好評でオリジン賞も受賞しました。こうして WEG は TRPG に力を入れるようになり、BRG からの資金を活用してゴーストバスターズやスターウォーズといった版権ものの権利を取得し TRPG 化するようになりますが、この二作も好評でした。1990 年にはトーグを発売しまたも好評でしたし、1996年にはゴーストバスターズのシステムを大幅リファインした汎用システム D6 System を発表し、D6 System を採用したタイトルとして、インディジョーンズやメン・イン・ブラックが発売されます。
一方で順風満帆に見えた80年代後半〜90年代前半ですが、実際にはそうではありませんでした。パラノイアのデザイナーは意見の相違によって早々に WEG を離れていましたし、これまでに触れたいくつかの会社と同様に高コスト体質だったことに加え、高額なライセンス料は利益は圧迫していました。親会社ともども経営も杜撰だったようです(杜撰な経営も TRPG 会社にはよくある話ですが)。90年代なると WEG はパラノイアの製品ラインの失敗により窮地に立たされますが、それに呼応するかのように親会社 BRG も業績が悪化していて、親会社に資金が流れたり果ては親会社との間で不正会計さえ行わたようです。WEG に関して言えば D6 System 採用 TRPG はどれも商業的には成功しませんでした。BRG は O.J.シンプソン事件の公判で提示された証拠品(といってもシンプソン容疑者の服とか靴です)が BRG が輸入していたものだったことによるイメージの下落がとどめを指し1998年に破産、煽りを受けた WEG は民事再生を選びますが、その結果ライセンサーはライセンスを撤回、同時期に WEG を去ったパラノイアのデザイナーによる訴訟もあり、破産を免れることができなくなります。
WEG 再生のパートナーとなったのは Yeti Entertainment(以下 Yeti)ですが、既存のライセンスの喪失、新たに取得した DC ライセンス製品や Yeti が持つコンテンツの TRPG が失敗に終わると WEG は早々に Purgatory Publishing(以下 PP)に売却されます。PP からは Torg の改訂版が出版されますが販売は振るわず、2008年には WEG 部門は赤字だと暴露されます。最終的に PP 時代の製品開発はことごとく失敗し、2010年には Torg が Ulisses Spiele に(トーグ・エタニティは US の製品です)、その他複数のシステムが Precis Intermedia に売却され、2016年には残った D6 System も Nocturnal Media(以下 NM、White Wolf の創業者が設立したゲーム会社です)に売却されました。D6 System は NM 下で複数のゲーム会社とライセンス契約されていますし、そのうちの一タイトル「カーボングレイ」は D6 System を改定した D6 Mangetic Variant を採用し、2022年の ENNIE 賞で Best Production Values にノミネートされています。
いずれにせよ WEG は会社としてもブランドとしても消滅していますし、創業者のダニエル・スコット・パトラーは Yeti での製品開発に失敗すると解雇され、新たな会社を設立するといくつかのボードゲームをデザインしましたが、その後 SF 作家に転身し、2020年に病死しました。
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Kei
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2025/07/26 18:37[web全体で公開]
😶 パラノイアの歴史のお話
ご機嫌よう。

最高の TRPG の疑いようもなく最高のバージョン、パラノイア・パーフェクトの日本語版が発売されましたが(物理版は予約者から順次発送されるそうです)、ここでサクッとパラノイアのこれまでを振り返ってみましょう。

■ 初版
1984年に West End Games から発売されたパラノイアは、それまでの10年の歴史を形作ってきた既存の TRPG とは一線を画していました。狂った AI が支配するディストピア、クローンによる復活、秘密の目的、PvP 要素、世相を反映した風刺とダークユーモア……これらが一つのシステムとしてまとめ上げられていました。
初版ルルブには当時らしくソロアドベンチャーが付属していましたが、ここで既にパラノイアではお馴染みとなる「ミッションに行く前に死亡する」という展開があります。また「これは孤立したパラグラフです。コンピュータの指示に従わず読んだあなたには反逆ポイントが課されます」というような部分もありました。こうした仕掛けは何よりもパラノイアの雰囲気を掴むのに有意義だったのじゃないかしら。

■ 第二版
1987年発売。ルールが簡略化され、よりディストピア生活のユーモラスな側面が強調されました。
一方、二版で重要なのは秘密結社戦争やクラッシュ・リブートキャンプといったメタプロットかしら。もちろんこれらの情報はセキュリティクリアランス・紫外であり、ここで内容を明かすわけにはいきませんが、メタプロットは必ずしも受け入れられたわけではありませんでした。
第二版の後半からパラノイアの公式作品群は強くカートゥーン・コメディ寄りの路線となっていきます。 

■ 第五版
いくつか飛ばしていきなり五版になったのはジョークか何かのようですが、これは公式にも非公式にも「公式に存在しない非製品」です。商業的にも失敗しましたし、評価も極めて低く……そうなったのは第五版がパラノイアである以前に1995年の発売当時 TRPG 界を席巻していた Vampire: the Masquerade のパロディだったからです。実際第二版までのデザイナーはほとんど関わっておらず、第五版の失敗によって West End Games の売り上げは90%も減少したのだとか。

■ 幻の第三版
第五版があまりにも不評だったことを受け、1997年の GenCon に出品された版です。ですが、オリジナルのデザイナーが West End Games を訴え、その権利を取り戻したため、販売には至りませんでした。

■ (とある巨大企業の申し立てにより修正済)版
最終的にパラノイアの権利は Mongoose Publishing に移り、2004年に復活します。オリジナルのデザイナーが戻りました。なぜか日本では有名な ZAP スタイルをはじめとする3種類のプレイスタイルが導入されたのもこの版ですが、デザイナーは後に「ZAP(カートゥーン・コメディ路線)はパラノイアの本来のプレイスタイルではない」と語っています。
同時に、メタプロット以降の全ての West End Games 時代の製品が「非製品」と宣言されました。
因みに West End Games はその後何度も買収され、現在では Nocturnal Media となっています。現在ではパラノイアのほか当時所有していた版権ものの権利も全て失っていますが、細々と?TRPG 事業は続けているようです。

■ パラノイア-O
そのような製品は存在しません。いいですね?
(日本ではこれが一番有名かもしれませんが、パラノイア-O は第二版の海賊版です。当然パラノイア-Oで遊ぶのも反逆です)

■ 25周年記念版
日本語版が発売された最初の版です。原書(2009年)から5年が経過し2014年に発売されましたが、30周年じゃないの?という指摘は反逆です。当初の日本語版は「これが1000部売れたら続きも出せる」みたいなクラファンをしていたのが懐かしいですわね。
ともあれ(とある巨大企業の申し立てにより修正済)版のルールは簡素化され、また公式にブルーや紫外といったクリアランスで遊ぶための完璧で楽しいルールも発売されました。
個人的にはトラブルシューターズに掲載された「反逆者へのヒント」が面白く、必読かと存じます。

■ リブーテッド(レッドクリアランス版)
2017 年にパラノイアは大幅に改定されました。使用するダイスは D20 から D6 になりましたし、カードが導入され、戦闘ではランダムに配られたカードで行動の選択をより有利にしたりその他の良かったり良くなかったりする効果を得られるようになりましたが、このルールは賛否両論でした(「ゲーム」すぎたのかしら。個人的には「ゲームっぽくて」面白いという面もあると思いますけれど)。端末の機能は脳に直接インプラントされ、だいたい常にオンラインで(圏外になることがあります)、カメラを通さずに直接監視されるようになりました。クレジットも全て電子化されましたし……主要なスケープゴートのステレオタイプは共産主義者からテロリストに変わりました。

■ パーフェクト(ピカピカの完全新作版)
2022年にクラファンが開始、(原書は)2023年にリリースされた最新版です。
「ピカピカの完全新作」を謳っていますが、実際にはリブーテッドの(大掛かりな)改訂版で、カードメカニズムは削除されました。もちろんゲームシステムのほか、秘密結社の説明がより現代的になりましたし、主要なスケープゴートのステレオタイプは再びコミーに戻ったのかしら(ルルブではコミーとテロリストの表記が入り乱れていますが、これにはコミーの方が良かったという声が多かったからのようです)。
言うまでもなく最高の販ですし、「パラノイアは楽しい。他のゲームは楽しくない。パラノイアを買いなさい」(残念ながら有名なこのフレーズはリブーテッド以降パッケージ裏から削除されました)。
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Kei
Kei日記
2025/07/26 00:59[web全体で公開]
😶 古き良き剣と魔法の冒険で盛り上がったお話
ご機嫌よう。

英語圏では D&D の配信などで有名な Critical Role(日本では D&D 発のアニメ「ヴォクス・マキナの伝説」で知られているかもしれません)発のリリースされたばかりの TRPG、Daggerheart を遊ぶ機会をいただきまして、遊んでまいりましたの。
印象としてはもっとずっとナラティブに振った D&D というか、判定は 2d12 + 修正値なのですが、二つの d12 のどちらが高いかでリソースの上下があったりという部分や、リソースを使用した協力技とかも面白い印象でしたし、休憩概念は D&D と FitD のいいとこどりという印象かしら。
今回遊んだのはクイックスタートでキャラクターは(ほぼ)出来合いから選択して幾つかの質問に答えるだけ、シナリオはまあ入門シナリオという雰囲気もありましたが、派手なアクションとかも演出できて盛り上がって、オーソドックスな D&D 的な冒険をゲームシステムの工夫でもっと盛り上げることができる良いゲームかと存じますの。
まあね、わたくしの PC は(シナリオ的な)主人公格でありながらボス戦は見せ場なしでしたけれど。
というのと、コアルール PDF が $29.99 というのはちょっと勇気のいる価格かなという気もしますけれど。

ともあれ、お声がけくださった方、ご一緒くださった皆さまありがとうございましたっ♪
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Kei
Kei日記
2025/07/25 00:18[web全体で公開]
😶 ロールマスターを作った会社のお話
ご機嫌よう。

一度は日本語版が出たものの名前を聞かなくなってしまったタイトルの一つにロールマスター(以下 RM)がございます。当時重量級 TRPG として知られていましたが、どうなってしまったのでしょうか。というわけで、RM を作った会社、Iron Crown Enterprises(以下 ICE)のお話でもしましょう。
さて、最初期の RM は AD&D にスキル制度を導入するサプリでした。このことは後まで続く RM のルールブック構成に影響を与えるのですが、ともあれデザイナーのピート・フェンロンは TSR からのオファーを断って(指輪物語を題材にした自分たちのキャンペーンを優先して)ICE を設立します。会社は当初から順調とはいかず、給料も満足に払えなかったそうです。
ともあれ、RM は膨大なデータと表を提供し、当時としては遊びやすく(本当かしら?)かつ詳細なゲームシステムにはそれなりの支持があったようです。
一方でゲーマーとしての彼ら自身は中つ国を舞台に遊んでいて、そのことは最終的にトールキン作品のライセンス契約を結ぶにまで至ります。このライセンスによって ICE は中つ国を舞台にしたゲームや設定を販売することができるようになり、数々の地図は多くのファンを獲得しました。一方でその時代背景はトールキン読者に馴染み深い指輪物語の時代ではなく、それよりも1000年以上も前の時代を扱っていました。またゲームシステムは RM を簡素化したものとされました。個人的に指輪物語 TRPG(以下 MERP)はゲームシステムと世界設定がちぐはぐな印象を持っていますが、このことは後にデザイナー自身も認めています。
ですが、ともあれ MERP によって ICE の経営は劇的に改善し、というか売上の8割以上が MERP からもたらされることになります。こうして春を謳歌する時代は……長くは続きませんでした。
一つは MERP や RM 以外の製品ラインの拡充・展開がうまくいかなかったこと。そのため再び給与や家賃の支払いが遅れるようになり、多くのデザイナーが離反することになります。加えて製品の質が低下し、山のように返品が相次ぐことになります。そして、こうした問題を克服しようとした時、MtG がやってきます。もちろん ICE も手をこまねいていたわけではなくトールキン公式ライセンスの名の下に中つ国カードゲームを発売し(たいへん複雑なゲームだったそうですが)、しかも市場に受け入れられました。でも、そのことは最終的に一層 ICE を苦しめる結果になりました。供給過剰によって会社は破産に追い込まれたのです。
さて、負債が積み上がって破産にまで至ったことは、最後の重大な問題を引き起こしました。ライセンサーへの支払いです。ライセンサーは ICE からライセンスを取り上げ、未払いのライセンス料を容赦無く取り立て、資産凍結を要求し、そのことが ICE の再生を不可能にしました。残された資産は売却されました。この資産を受け継いだのは Aurigas Aldebaron という会社ですが、RM を復活させ、新しい簡略版となる High Adventure Role Playing(以下 HARP)を発表します。HARP は批評家には好評で一時は日本語版のクイックスタートもありました(残念ながらわたくし自身は所有しておりません)。また当初から PDF 販売に積極的で、このことも好評でした。2017 年にはついに、Iron Crown Enterprises と名前を変え、新生 ICE となります(公式サイトが非常に重く、ほんとうに順調なのかと問われると個人的には?と感じなくもございません)。
その後 RM の新版も出すというようなニュースを見たような気もするのですが、どこを見返してもそんなニュースは見当たりませんので、記憶違いかしら。
ともあれ復活を遂げた会社というのは TRPG 業界ではなかなか珍しいパターンではないかと存じます。
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Kei
Kei日記
2025/07/14 20:13[web全体で公開]
😶 武器なし! 策なし! 意気地なし! のお話(たべっ子どうぶつ THE MOVIE は関係ございません
ご機嫌よう。

この2ヶ月強ほどアンサング・デュエットの公式シナリオ「よめる」を原型を留めないほど弄り倒して置き卓で遊んでおりましたの。ホラーを目指しまして、わたくしの持てるホラー力をできるだけ投入したつもりですわ。
今回のシナリオは PL 二人用(つまりシフターも PL が演じます)かつ置き専用、置きだからこそできるギミックでシフターとバインダーのコミュニケーションを壊しましたの。というかその部分が要と申しましょうか。うまく行っていたらいいのですけれど。そのほか強制異界化とか余計なこともしまして(一応 PL に選択権を渡していますわよ)。
というかね。これはまあわたくしの語りの問題だと思うのですが、わたくし視点ではバインダーが本当に「武器なし! 策なし! 意気地なし!」になってしまいまして。ゲーム中でもたべっ子どうぶつ THE MOVIE のポスターは登場したのですが、まさかここまで?! その結果ゲームの主導権は完全にシフターに移ってしまい、というか役割が逆転してシフターがバインダーを連れて帰るお話になってしまったのですけれど。
まあね、これが PL の選択ですし、お話としてはちゃんと着地しましたわよ。

ともあれプレイ後アンケートの結果、「めちゃくちゃ怖かった」「夢にまで見た」「(PCの)トラウマをえげつなくほじくり返された」「(PCの)気持ちが嫌な感じに変化した」といった絶賛の声を頂戴しましたの♪ そうなったのは全てご参加くださった PL の方がのおかげですけれど♪ もちろん一方で「RP しにくかった」「どう RP したらいいかわからなかった」といったご意見も頂戴したように、反省点もございますわ。

ご参加くださった方ありがとうございましたっ。
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Kei
Kei日記
2025/07/12 20:57[web全体で公開]
😶 違法入国して海鮮に舌鼓をうったお話
ご機嫌よう。

ダークデイズ・ドライブ(以下 DDD)を遊んで参りましたの。と言っても今回は、普段遊ばせていただいている Vampire: the Masquerade 卓の二次創作シナリオで、舞台となるのはモントリオール。ですが DDD ですから(ホンの数キロ先の目的地に行くために)国境を越えてアメリカ、ロブスターの本場メイン州まで走ることになったのですわ。もちろん車内には主人の棺に加えて、主人がその誘拐壁で攫ってきた美少年(11歳)が転がされていましたが、イケメンたちは難なく?国境審査を乗り越え、行き着いたポートランドでは有名シーフードレストランで美味しい料理にありついたのですわ。
もちろんシーフードレストランに行くことになったのは主人の我儘のせいですし、お金が足りずに面白いことになったりもしましたの。そのほか車中泊が原因でヴァンパイアハンターにしつこく付け狙われたりといった面倒なトラブルも満載でしたかしら。
本来の目的地ではオリジナル卓側 PC たちと戦闘になったり、その戦闘を回避するために PC たちが(メタ PL 知識も交えつつ)頭をひねる様子も、二次創作卓らしく楽しめましたかしら。
また、DDD ですからほぼあらゆる判定で主人の悪口を言うことになり、その結果どんどん主人の設定が生えていくのも楽しかったですわ。
ご参加くださった皆さまありがとうございましたっ。
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Kei
Kei日記
2025/07/11 19:22[web全体で公開]
😶 2025年 ENNIE 賞ノミネート作品紹介5:Judges’ Spotlight Winners 
ご機嫌よう。

先日に続きまして、ENNIE 賞のノミネート作品を軽く紹介しましょう。オンセンでの紹介はこれで最後としますが、今回は Judges’ Spotlight Winners 部門です。

■ Punk is Dead: a post apocalyptic songwriting TTRPG
Mörk Borg 的な OSR システムで、ポストアポカリプスな島国で人類に最後に残された武器である音楽によって人々に希望を与える……みたいな TRPG かしら。

■ Letters from the Dark Vol. VIII: Lucky Stars
Shadowdark という TRPG のサプリ。金鉱が発見された山村を舞台に、一攫千金を求める鉱夫たちが押し寄せる中、村人たちは病気になったり行方不明になったり……という背景で地下に隠された秘密に挑むサイエンスファンタジーのようですわ。

■ Let Us Build a Tower: A Mythic Bronze Age Adventure in Babel
廃墟となったバベルの塔を舞台にしたキャンペーン TRPG。塔にかけられた混沌の呪いいは言語だけでなく塔そののものの形さえ変容させ、訪れるたびにその姿を変えます(塔はダイスやウェブアプリによって生成されます)。

■ Darkenhaven
出版元が展開しているファンタジー世界設定の都市ダークヘイヴンの設定集かしら。都市やそこに暮らす人々の詳細な設定集で、地図やアートがとんでもないいい感じというレビューを見かけましたけれど。加えて都市における出来事をフックにシティアドベンジャーをするフックやガイドが整っているそうですわ。

■ Heroes of Cerulea
ダンジョン攻略 TRPG。初代ゼルダっぽい雰囲気で、鍵が使い捨てだったり壺をわるとアイテムが出たりブーメランでアイテムが回収できるといった要素があるそうです。

さて、今回は気になるゲームはございましたかしら? 紹介した以外にも、Best Adventure、Best Accessory、Best Art、Best Cartography、Best Community Content、Best Layout and Design、Best Monster、Best Online Content、Best Production Values、Best RPG Related Product、Best Settings、Best Streaming Content、Best Supplement、Best Writing、Product of the Year といった部門があり、興味がおありの方はお調べくださいまし。
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Kei
Kei日記
2025/07/10 20:03[web全体で公開]
😶 2025年 ENNIE 賞ノミネート作品紹介4:Best Rules 編
ご機嫌よう。

先日に続きまして、ENNIE 賞のノミネート作品を軽く紹介しましょう。今回は Best Rules 部門です。

■ Dawn of the Orcs
妖術師として、武器としてのオークを創造し改良しながら、オークが独自の民族として成長する物語を語るダークファンタジー TRPG。GM なしでプレイします。

■ Memento Mori
1347年のヨーロッパ、すなわち黒死病が猛威を振るう中でのフォークホラー TRPG。PC は民話に登場する怪物と戦いますが、その戦いで恐怖に直面するたびに人間性を失い、怪物になっていく……みたいな感じかしら。

■ Wilderfeast
調理道具を手に怪物を狩る、みたいな TRPG。勝利して怪物を食べるとその力を得ることができ、その力で人類と野生との調和を追求します。判定結果によって PC は人間としての側面を重視して自分らしさを保つか、内なる怪物を解き放ってしまうか、みたいな感じで描いていきます。無償のクイックスタートがあります。

His Majesty the Worm と Triangle Agency もノミネートされていますが、すでに紹介しておりますのでここでは割愛しますわね。
さて、今回は気になるゲームはございましたかしら?
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Kei
Kei日記
2025/07/09 19:54[web全体で公開]
😶 2025年 ENNIE 賞ノミネート作品紹介3:Best Game 編
ご機嫌よう。

先日に続きまして、ENNIE 賞のノミネート作品を軽く紹介しましょう。今回は Best Game 部門です。

■ His Majesty the Worm
古き良きファンタジー冒険譚を新しい視点で描く TRPG です。ダンジョン内のサバイバルや町での出来事に焦点を当てていて、空腹や光の有無、アイテム管理や、仲間との関係性などによってゲームを進めていきます。プレイにはタロットが必要です(ダイスは使用しません)。

■ Last Train to Bremen
クラファン中の作品ですがいち早くノミネートされています。
悪魔に契約して大成功したバンドマンとなって、悪魔との契約から逃れようと、その契約から逃れることのできる「ブレーメン」に旅する、みたいな TRPG。一人また一人と命を奪われ、最後に残った一人が悪魔と対峙します。わたくしも(PDF 版ですが)支援しましたわ。

■ Monty Python’s Cocurricular Mediaeval Reenactment Programme
モンティ・パイソンネタの中世舞台 TRPG……なのかしら。表紙は「A Role Playing Game」の部分がバッテンで消され「NO IT ISNT!」などと書かれていますが、悪ふざけなのかどうかは実際にご覧あれ、といったところかしら。クラファンでは物理版を購入すると D14、D16、D18といったダイスがついていたようですが、こちらはクラファン支援者限定のようですわ。

■ The Last Caravan
エイリアンとの戦争で荒廃したアメリカで、安住の地を目指して旅するみたいなロードムービー TRPG。紹介ページによると「宇宙戦争」x「リトル・ミス・サンシャイン」ですとか。ゲームシステムは FitD でキャンペーン志向です。無償のクイックスタートもあります。

■ Triangle Agency
残りの人生の最初の仕事にようこそ。超常現象の捕獲・収容するエージェントとなる TRPG。PC 自身にも超常能力があり、この能力を勝手に使うと捕獲される側になるのかしら。現実を歪曲し、複雑な官僚的手続に煩わされながら日々を送ることになるようです。

さて、今回は気になるゲームはございましたかしら?
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Kei
Kei日記
2025/07/08 20:35[web全体で公開]
😶 2025年 ENNIE 賞ノミネート作品紹介2:Best Free Game 編
ご機嫌よう。

先日に続きまして、ENNIE 賞のノミネート作品を軽く紹介しましょう。今回は Best Free Game 部門です。部門名の通り無償のタイトルですし、海外インディーズ作品の入門にも良いのじゃないかいら。

■ Garbage & Glory
アライグマになって主に人間のゴミ箱を漁る冒険をする TRPG。アライグマにとってゴミ箱は宝の山! という感じなのかしら。もちろんアライグマにとってもゴミなものはあり、ゴミの山と宝の山を築きつつ、みたいな感じかしら。

■ Grimwild: Free Edition
D&D 的なヒロイックファンタジーの冒険譚を超高速シネマティックに描く TRPG です。ルールは FitD ベースなのかしら? ドラマチック要素に焦点を当てていて、シナリオなしで遊びます。

■ Helene of the Blue Ridge
(このタイトルはソロジャーナルです)
これからハリケーンが襲来する山間の村の住人となって、ハリケーンが襲来し洪水で何もかも流される中でどうするか、みたいな TRPG かしら。2024 年のハリケーン・ヘレンとブルーリッジ山脈(アパラチア山脈)を舞台にしています。

■ Slay & Plunder
D&D 赤箱/青箱あたりっぽい雰囲気の「剣と魔法もの」を遊ぶ TRPG かしら。古き良き冒険をするにはなかなか良さそう。

■ TEETH: False Kingdom
12世紀のイギリスを舞台に、狂気の王に媚び諂いつつどうにか生き延びる、みたいなグロテクス・コメディ TRPG です。ルールは FitD ベースで数回のセッションで遊びます。伝説のクエストに挑んだり相手を裏切ったり戦ったりしながら、なんとか生き延び、この王を裏切る好機を待ちます。

さて、今回は気になるゲームはございましたかしら?
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Kei
Kei日記
2025/07/07 19:43[web全体で公開]
😶 2025年 ENNIE 賞ノミネート作品紹介1:Best Family Game 編
ご機嫌よう。

ENNIE 賞のノミネート作品が発表されておりましたので、軽く紹介しましょう。今回は Best Family Game 部門のノミネート作品です。

■ Dungeon Cats
入門用にデザインされた 20 ページほどのブックレット TRPG で、猫になって巨大ネズミや悪魔の子犬と戦ったり、ダイエットフードが入った餌入れをひっくり返したり、ライフが少なくなったら(猫には9つの命がありますので、残りライフは9から始まります)家に帰って昼寝する、みたいな TRPG です。3〜6 人用で一回のプレイ時間は1時間ほど? 現時点では品切れしているようです。

■ Land of Eem
滅びの危機に瀕した世界で忘れられた過去の遺物を求めて冒険するみたいな TRPG でしょうか。公式には指輪物語 + マペットという雰囲気と書かれていますわね。PDF のコアルールは $15、無料のクイックスタートもあります。コアルールには 16 のクラス的なもの、200 のマジックアイテム、50 の遺物、27 のシナリオ、100 の魔法などなどが含まれているようですわ。

■ Let’s Go to Roomino
無限の迷宮を探検して宝物を見つけたり、いろいろな生物と友達になったりする TRPG かしら。1回のセッションに要する時間は 10〜30 分ですって。PDF は $8.99 です。

■ Stewpot: Tales from a Fantasy Tavern
引退した冒険者となって街で酒場を開く、みたいな TRPG です。酒場を取り巻く出来事にはいろいろなフックがあり、実際に何が起こるかは PL 次第です。わたくしも一度遊ばせていただきましたが楽しかったですわよ。PDF のコアルールは $15 です。Roll20 前提の無料のクイックスタートがございます。

■ Yazeba’s Bed & Breakfast
魔女が経営する宿と客たちの物語を即興で描く GM なし TRPG です。PC は宿の従業員になり、家出した少女が迷い込んだところから物語は始まり、一風変わった NPC がたくさん登場します。ルルブが 400 ページ以上あって、わたくしは遊べるところまで到達できておりませんが…… PDF は $25 です。ネビュラ賞のゲームライティング部門にもノミネートされました。

気になるゲームはございましたかしら?
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Kei
Kei日記
2025/07/03 23:36[web全体で公開]
😶 「この子ならこうする」はトラブルとセットというお話
ご機嫌よう。

突然ですが、わたくしは「この子はこういうキャラクターだから」よりも「どうしてこの子はこんなことをするのか、ゲームを通じて発見する」タイプのゲームの方が好みですの。もちろん前者の遊び方も分かりますし、それを押し通した結果厄介ごとが起こるというところまでセットでやって頂けるなら歓迎でもありますけれど。
悪く言えば前者みたいなのを押し通すなら、だったら小説でも書いてらしたらいいというご意見も一理あるかと存じますし、同じことはシナリオ側にしたって言えます。自然にはそうならないような流れを強制するようなシナリオでしたら、やっぱり同様に小説でも書いてらしたらいいのですわ。
では TRPG は何が違うのかというと、卓の共同作業だというところですけれど、共同作業というのはつまり、PL にも語る権利と自由があるということなのですわね。すなわち、シナリオに即さない行動や描写等であっても PL はすることができます。ゲームを壊さない範囲で。一方でプレイ中いつでも、PL も GM もその範囲について話し合うことができますし、率直にお願いすることもできます。

ここまでで十分な方は、この先を読む必要はございません。

さて、一方でわたくしは「この子はこういうキャラクターだから」というキャラクターができてしまうのはゲームデザインの問題だとも思っておりますの。まあね、もちろん、そういうリプレイが広く親しまれていたりとか、TRPG はそういうゲームだという認識が広まっているとかというのもあるかもしれませんけれど。けれど、そもそも論として、分厚いルールやら面倒なデータやらと睨めっこして時間をかけてキャラクターを作るなら、加えて「余計なキャラ設定をしない」というようなレギュレーションもなくセッション前に事前にキャラクターを作るなら(あるいは継続キャラを使うなら)、PL が思う「うちの子」が入ってしまうことを避けることは難しいというかほとんど不可能じゃないかしら。
まあね、そうやって作られたキャラクターに卓の他の誰も合わせる必要なんかないんですけれどね。だって卓外の出来事なんて知らないでしょう? それなのに PL にはそんな意識はありません。一方でGM はコントロールできないならそもそも最初からそういったキャラクターを認めるべきではありませんが、けれど、キャラクターの作成にもチェックにもコストがかかるなら、現実的にそうはできないでしょう。
ではそういった事故を防ぐためには何をしたら良いか、何を犠牲にできるか……と言いたいところですが、どうせ GM は「こういうシナリオだ」と言い張り PL は「こういうキャラクターだ」と言い張って平行線になるのでしょう? まったくこれだから。それなら PL がしでかしても大丈夫な方法を考えましょう。
わたくしが何を言いたいかというと、「この子ならこうする」と PL が言い張るならそうさせてあげればいいし、それで酷い目に合わせればいいということですの。こう言うと GM をされる方はその場のアドリブでそんなのできないと思われるかもしれませんが、GM が考える必要はございません。PL に考えさせればいいのです。GM として納得できれば「じゃあ」と言ってペナルティを与えればいい。納得できなければ、もっと酷いペナルティを与えてどうしてそうなったのかを PL に考えさせればいい。
もちろん、これを「シナリオの都合」でやったら卓が崩壊しますわね。ふふ……。
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