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😆 青年と0子さん(自己満SS) 興が乗ったので、書いてみた。 「僕ねえ、詐欺師だったんですよ」 どんな恐ろしい霊障を起こしてもまるで堪えないその青年に業を煮やし、直接縊ろうとその首に手をかけた時、彼は0子さんにそう告げた。 「…所謂、闇バイトって奴でね。要領が良かったから、割とホイホイ騙せちゃって。頭のどこかで悪いなって思いながらも、簡単に儲かるもんだからやめられなかった。騙される方が間抜けなんだって、言い訳しながら」 「…」 やはりこいつも、人を食い物にする男だったのか。0子さんの手に力がこもる。 「だからこの病気が判った時、思ったんだよね。『ああ、やっぱ罰が当たったんだ』って。凄く納得できた。金だけはあったから緩和医療もできるって言われたけど、そんな気になれなかった。そんな資格ないなって。人を騙して稼いだ金だしね」 「…」 0子さんが聴き入ってしまったのは、この期に及んでも青年の目に一欠片の恐怖もなかったからだ。こんな男、いや、こんな人間に出会ったのは、初めてだった。 「だからこうなったら、とことん自分に相応しい惨めな死に方をすべきじゃないかって思って。変に覚悟決まっちゃって、病気の苦しみもそんな苦じゃなくなってたんだよね。僕の所為で自殺した人もいるってんだから、そんなの許されないじゃんって思って」 「…」 「だからここに来たんだ。幽霊に呪い殺されるなら、さぞかし怖くて酷い最期だろうって。そしたらさ…」 こいつはあの男と同類だ。殺さなければならない。だから、これ以上聞きたくはなかった。それなのに、0子さんは青年の話から耳を離せなかった。 「…出てきた幽霊は、僕が騙してきた人達と、まるで同じ表情してた。だから解ったんだ。ああ、結局自分のやった事からは逃れられないんだな、って。死んだからって、なんにも解決なんかしないんだ、って」 手からどんどん力が抜けていく。 「だから、さ。あなたが望むなら、殺してくれても構わない。それで、何か少しでもあなたが救われるなら。それで許されるなんて思ってないけど、多分そうする為に僕はここに来たんじゃないかなって、そう思うんだ」 0子さんの震える手を、青年の手が握った。最早、手は首から外れかけていた。 「…」 青年の頬に、雫が落ちる。0子さんの目から、涙が溢れていた。 「ああ…。あなた、そんな美人だったんだねえ…」 慨嘆と慙愧に満ちた目で、青年は呟いた。 その日から、0子さんは怨霊である事をやめた。
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