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2026/10/03 17:26
😶 【放浪者紀行】第一篇|記録 04 下町でのドブさらいの仕事が終わったあと。 プレイヤーAとCは、報酬を受け取りに行く前に、古井戸で身体を洗っています。 井戸には、魔動機文明時代の動力で動く滑車が取り付けられており、非力な者でも簡単に水を汲めるよう、便利な改良がなされているようです。 もし注意深く下町を見回してみれば…、 古く錆びついた送風機や、日が暮れた後に夜道をささやかに照らす街灯など、手入れをされてなんとか動いている、古い魔動機の品々が、下町の人々の日常を支えていることに気づいたことでしょう。 これらは、魔動機文明アル・メナスの技術を受け継ぐ品々です。 一見して裕福とは思えない暮らしの中に、こうしたものが当たり前として存在しているのは、少し珍しいことかもしれません。 およそ300年前の〈大破局〉によって魔動機文明が滅び、その技術の多くが失われた現在。遺跡などから発掘された魔動機械をもとに、少しずつ復元が進められています。 はるか昔、魔法文明時代の頃は、限られた特権階級のものだった魔法の恩恵を、より多くの人々へ。 魔法を道具や技術として広く普及させたのが、魔動機文明であったとも言われます。 この町には、そうした技術を技術者が独占するのではなく、かつての時代のように、もっと身近な道具として人々の生活に役立てたい。 ……そんな考えを持つ技師がいるのかもしれません。 我々が日々の暮らしの中で、「当たり前にそこにある」と思っているものは、果たして、本当に当たり前なのでしょうか。 誰かが作ったから、そこにある。 目の前にある人、物、出来事へ思いを馳せてみること。 そして、ときには手を伸ばしてみること。 求める者には、新たな発見が与えられることも…あるかもしれません。 さて。 そんな中、プレイヤーBは単身、別行動を取ることにしたようです。 物乞いの少年から、もう少し話を聞きたい。 そう考え、彼の後を追うようです。 一歩、踏み込んできました。 単独行動には危険が伴いますが、虎穴に入らずんば、得られないものもあるでしょう。 路地裏へ姿を消した少年を追い、危うく虎子からの逆襲を受けかけながらも、際どいところで躱し、なお、問いを求めます。 その姿勢と実力を認められたのか。あるいは、呆れられたのか。 彼の前に、この町のアンダーグラウンドへと続く扉が開かれることとなります。 一方。 プレイヤーAとCは、下町での仕事の報酬を受け取った帰り道。 着飾った恰幅のよい男と、先日日用品を買った道具屋の主人が話し込んでいるところへ出くわします。 どうやら、この町の領主のようですが……。 さほど興味はない模様。 簡単に挨拶を済ませ、賭場へ向かいます。 そして、物乞いの少年から教わった言葉を口にしました。 『月は欠けても、また満ちる。』 それを聞いた賭場・月影亭のディーラーは、目を光らせます。 この月影亭で、一度、光を失った者にも、再び満ちる機会を。 それは、一度敗れた者に再挑戦を許す、特別勝負への符丁でした。 ただし、次、もし負ければ。 今度は身ぐるみを剥がされる程度では済まず、たった今、眼前で悲鳴を上げながら地下へ連れていかれた見知らぬ男のような末路を迎えるかもしれません。 しかし勝てば。 その危険に見合うだけの何かが、手に入るかもしれない。 身を焼くような大勝負。 これこそ、博打打ちの醍醐味でしょう。 今。 一人の男の運命を賭けた大勝負が――。 ……始まりませんでした。 「オレの金でなければ、オレの人事ではなくなってしまう。」 そう言い放ち、踵を返します。 ……ええ? おかしいですね。私の手元に届いている人物資料と、違――。 いや。違わないのか、これは? むしろプレイヤーBが先に裏側へ辿り着いているのを、視界にとらえた以上、負う必要のない危険は負わない、と考えたのか? 天性の危険感知能力か? 賢明かもしれません。負ける人は2回やっても負けます。 いや。 果たして、本当にそこまで考えているのか??? オレの人事とはなんだ。名言なのかこれは。 この男の行動、もはや誰にも予想がつきません。 横合いから、私の隣に立っているダイスの女神が、ずっこける音が聞こえてきます。 女神は強かに打ちつけたお尻を痛そうにさすりながら、私へ囁きました。 「Liber…良いのです。TRPGとは、自由なのですから――。」 閑話休題。 そのようにして、三名の旅人は宿場町での時間を過ごしました。 明日あたり、馬車の修理も終わる頃。 あとは、ちょっとした届け物を手伝い、軒下の仁義を果たせば、次の旅へ。 それぞれの時間へと、戻っていくことでしょう。 ――ところが。 プレイヤーCが、プレイヤーBへ想いを伝えます。 「何か、ずっと調べてるもの……?があるような素振りだし。 どうせならば、きみに対しても協力できるものならしたいな、と」 おや。 このまま互いの深いところには触れず、 当たり障りのない言葉を交わし、通り過ぎていくものかと思いきや。 それぞれが見たもの。 知ったこと。 気になっていること。 情報と、思いの丈を交換し、 個が、群へと変わろうとしています。 今しばらく、この町に滞在したい。 まだ、調べたいことがあるのだと。 そう、まとまったようです。 もともとは、縁もゆかりもない他人同士。 冒険者のように、目的を共有してパーティを組んでいたわけでもありません。 何も刺さらず。 何も発火しないのであれば。 「楽しい旅行だったね」 それで終わるのも、また一興。 そう思っていましたが。 ここにきてようやく、 三人は、ひとつの目的のために協力することを選んだようです。 もう一日。 この町に滞在していくことを決めたようです。 時間が許すなら、もっと長くいたいのかもしれません。 ですが。 哀しいかな、歳月、人を待たず。 止まっているように見える町にも。 昨日と変わらないように見える暮らしにも。 時間は流れています。 関わろうが。関わるまいが。 所詮は、「他」人の「生」。 その「縁」を紡ぐのか。 解くのか。 ――みものです。 記録日:2026-09-19 記録者:liberbook 本文文字数:2,408字(改行除外) 風の強い日のこと。(台風)
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2026/10/03 17:26
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